「結婚のときに奨学金300万円の返済があると話すはつらかった」

~奨学金返済が社会問題 給付制で「教育を受ける権利」の保障を~

 

 OECD加盟国の半数は大学の学費は無償で、大多数が返済不要の奨学金制度を設けています。一方、日本の教育機関への公的支出はOECD33力国中32位と最低水準です。日本では、大学生の約半数が奨学金を利用し、さらには、奨学金の返済が難しいために自己破産する、結婚をためらうなどの深刻な問題がおきています。教育の無償化と奨学金制度の抜本的な見直しが急務です。

 

8割以上の親が負担を感じる

~奨学金制度のアンケート結果から~  

 生協労連では、日本生協連や全国大学生協連とともに、奨学金制度を取り巻く現状と課題を共有するための学習活動と奨学金制度改善にむけたとりくみを提起しています。2016年9月から11月にかけて日本生協連では『教育費や奨学金制度に関するアンケート』を実施。調査結果から、大学生までの子どもを持つ親の8割以上が今後の子どもの教育費に負担感を感じていました。

 アンケート自由記入欄より

 

自分で奨学金を借りましたが、・卒業しての返済は精神的にしんどかったです。結婚の際に300万円ぐらいの返済があることを相手に伝え理解してもらうことも精神的に負担を感じました。特に出産を理由に働けなくなるときの返済をどうするか、結婚相手にお願いしなくてはいけないのは正直嫌な気持ちでした。

  

 

手記「手が震えてハンコが押せなかった」

~子どもの涙声 親も心痛める~

 奨学金について、生協のなかまのひとりから手記が寄せられました。

 現在、社会人の2人の子どもは、奨学金を借りて大学、大学院を出ました。親としては情けないと思いましたが、一度にかかる金額が大きすぎました。幸い2人とも第一種奨学生で認定がされ、無利子で借りることができました。

 下の子は音楽大学に進学を希望していたので、奨学金に頼らざるをえませんでした。入学金から受けられるよう、高校3年生の4月に申し込みました。高校も音楽科でしたが、クラスのほぼ全員が同じように申し込みました。

 申込み当日、娘から私の携帯に電話がありました。「奨学金って、ローンなんだよね、ハンコ押す時、手が震えてなかなか押せなかった」と涙声でした。4年間、音楽大学で学び、いまは一般企業に就職しました。奨学金を返すために音楽をつづけられなかったのです。私は子どもに音楽をつづけてほしかったので、「代わりに払ってもいい」と話しました。しかし、本人の意思は固く、いまは見守っています。

 上の子は大学・大学院を経て社会人2年目です。自分の責任で奨学金を返しています。この先2人が結婚するとき悩むのかなと心が痛いです。やはり将来の不安なく、すべての子どもたちが勉強をできるようにしてほしいです。

生協労連は求めます ~教育の無償化 給付型の奨学金制度を~

① 児童手当(子ども手当)の拡充

 18歳まで、子ども1人について月額3万円を求めます。

② 高校までの教育費無償化

 子ども1人につき、幼稚園から高校までの15年間で学校教育・課外活動などにかかる費費用は公立でも523万円、私立だと1,770万円かかります。(文科省「2014年度子どもの学習費調査」)

③ 大学授業料の引き下げ

大学4年間に必要な費用(入学金・授業料・生活費・通学費・書籍代など)の平均は国立大学が689万円、私立大文系が907万円、私立理系が1,050万円。自宅外通学の場合はさらに費用がかかります。一方、OECD(経済協力開発機構)34加盟国のGDPに占める高等教育費の公的支出割合の平均は1.1%に対し、日本は0.5%と極めて低い水準です。(日本生協連「奨学金制度と教育費に係るQ&A」)

④ 奨学金制度の拡充

大学生の2人に1人が何らかの奨学金を受けている中、滞納者は33万人にものぼり、3カ月滞納すると「個人信用情報機関」に登録され、元本と利息の返済に追われることになります。OECD加盟国の中で大学の授業料が有償で、国による給付型奨学金がないのは日本だけです。

「奨学金返済など急激な変化の対策必要」

~若手職員に部分ベア

 大学生協東京統一労組~

 

 大学生協東京統一労働組合では、2014年に青年部でアンケートをおこないました。

22-26歳で約4割が奨学金を利用し、大学卒業時の奨学金返還額は平均約335万円でした。1年間の平均返済額21万4千円、月額17,867円です。若手職員の支出構造が20年前と大きく変化しており、改善が求められる状況が浮き彫りになりました。

 

アンケートに基づき、大学生協東京統一労組では、2017春闘で若手職員の実態をふまえて賃金引き上げを要求。理事会からも「多くの若手職員が、奨学金返済などで生活構造が急激に変化しており対策が必要」と示され、18~30歳に1,000~8,000円の部分ベアが実現しました。

「高等教育の無償化」に憲法改正は不要です。

 

危険なのは安倍首相が9条に自衛隊を明記する改憲とあわせて、「高等教育の無償化」を改憲理由にあげています。しかし、無償化は憲法を変えなくても、法律を変え、予算を確保できれば実現できます。

 

高すぎる学費を何とかしてほしいという要求を改憲にむすびつけるのはまったくの筋違いです。

 

無償化を憲法に書き込むことで、9条を改憲の足掛かりにしようとする策略を許してはいけません。

▲給付型奨学金、教育の無償化を求める声が

 アクションとして広がっています。

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