どこでもだれでも

最低賃金 今すぐ1,000円以上、

めざせ1,500円

​■ はじめに

 最低賃金とは、法律にもとづいて国が定める「賃金の最低基準」です。年齢や性別、また雇用形態に関係なく、地域別に定められた最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わない場合は法律違反となります。最低賃金は、中央最低賃金審議会が年度ごとに改定の目安を出し、その目安をもとに各都道府県にある審議会で審議がおこなわれ、地域別の最低賃金が決まることになっています。

 

■ 2016年度の地域別最低賃金改定状況

私たちのこれまでの運動と世論の高まりによって、政府与党は最低賃金の引き上げに言及せざるを得なくなっています。2016年の地域別最低賃金の改定では、安倍首相が経済財政諮問会議で「(最低賃金を)3%の引き上げへ最大限の努力」を呼び掛けました。それを受けて、2016年度の中央最低賃金審議会は、Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円の目安答申を出し、右表のように地域別の最低賃金が改定されています。

全国の加重平均額は823円になり、昨年度から25円の引き上げ改定となりました。そのうち6県(埼玉、兵庫、島根、鳥取、香川、高知)の審議会では、中央の目安に対して1円上積みした改定をおこないました。その一方で、最低賃金の地方間格差はさらに拡大し、最高額の東京都と最低額の宮崎県、沖縄県の格差は218円となりました。地域間の格差は10年前と比較して約2倍に広がっています。

■ 私たちの要求は、

「いますぐ1,000円、めざせ1,500円!」

~最低賃金の引き上げで、

一人でも自立して暮らせる社会を実現しよう~

民主党政権だった2010年には、できる限り早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指すことが政労使で合意されています。その合意は、今の安倍政権のもとでも引き継がれています。しかし、2016年度の引き上げ幅である3%の改定を2020年まで続けたとしても、都道府県の最低賃金の平均は925円にとどまり、1,000円を超える地域は「東京」と「神奈川」の2つだけです。政労使合意を実現するには、年率3%の引き上げでは不十分なことは明白です。(※全労連:最賃を3%ずつ引き上げた場合のシミュレーションより)また、最低賃金は低すぎるため、最低賃金と同額の時給で年間を通してフルタイム働いたとしても、年収200万には届きません。ワーキングプア(働く貧困層)と呼ばれる、働いても貧困状態から抜け出せない原因の一つには、最低賃金が低すぎて賃金上昇の足かせになっていることが挙げられています。

自立した生活が実現できない水準が、最低賃金と言えるでしょうか。生協労連は、最低賃金は「いますぐ1,000円、めざせ1,500円」の要求を掲げ、すべての働くなかまの賃金の底上げをもとめてたたかいを強めるとともに、均等待遇とパート一人でも自立して暮らせる社会の実現をめざしてとりくみをおこなっています。

2016年度地域別最低賃金改定状況

■ 最低賃金を引き上げるとりくみが各地で展開され、大きな運動に発展

~アメリカでは、最賃15ドル実現の運動が全米規模にまで広がっている~

2016年度の最低賃金の大幅な引き上げをめざし、各地で労働局や最低賃金審議会へのはたらきがけがおこなわれています。24の地方(栃木、群馬、神奈川、新潟、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、岡山、広島、山口、愛媛、高知、長崎、鹿児島)では、全労連の単産、地方組織が審議会で意見陳述をおこないました。また、意見陳述や審議会の公開を求めて、審議会の委員(労働者・公益・使用者)との懇談や要請が全国的に広がってきています。

アメリカの労働者たちが立ち上がり、「Fight for 15$」(時給15ドル実現のたたかい※15$=約1,750円)の運動が全米規模にまで広がっています。4年前から本格化した最賃引き上げ運動は、首都ワシントンをはじめ3つの州と24の都市で最低賃金15ドルへの段階的な引き上げを勝ち取り、この運動の広がりによって2,000万人以上の労働者が恩恵を受けたといわれています。日本でも、時給1500円の要求を掲げるエキタス(※AQUETUS)という若者を中心とした市民運動が注目を集めています。  

こうした運動に共通しているのは、集中する「富」の公正な分配を求めていることや、生活に困窮する当事者が立ち上がっていることです。自分たちのいのちや暮らしを守るため、最低賃金の引き上げを求めてたたかう動きが世界で強まっています。こうした運動と私たちの職場や地域でのたたかいをつないで、労働者全体の雇用の質と賃金を引き上げる大きな運動に発展させていきましょう。

■ 全国一律の最低賃金を実現しよう

~最低賃金の地域間格差が地方の疲弊につながっている~

最低賃金の大幅な引き上げとあわせて、全国一律の最低賃金制度を求める声が高まっています。2016年度の改定では、最高額の東京都と最低額の宮崎県、沖縄県の格差は218円(※昨年214円)になり、地方間格差がさらに拡大しました。こうした最賃の地域間格差によって、労働者は地方から都市部に移動し、地方を疲弊させる大きな要因となっています。静岡県は、隣接する神奈川県と愛知県と

※数字は昨年度の改定額です。

の最低賃金の格差が広がり、最低賃金に張り付きがちなコンビニやスーパーの時給でフルタイム働いた場合では、年収で22~20万ほどの差が出ることになります。わずか一駅違うだけでこれだけ年収に差が出るために、県境に住む静岡県民は県外で働くことを希望します。そのため人口流出も深刻で、2014年の静岡県の人口の社会減(県外への転出超過数)は全国ワースト2位となる一方、神奈川と愛知は転入超過数が全国3位、5位となっています。とりわけ10代、20代の人口流出が深刻で、地域の持続可能性が危ぶまれています。

最低賃金の地域ごとの格差は、中央最賃審議会の「目安に関する小委員会」で、地域の経済力ごとに全国をABCDの4つのランクに分けすることから生み出されています。こうした制度を維持し続ける限り、今の構造は変わりません。最低賃金は、地域間で格差をつけるべきではありません。私たちの運動で、全国一律の最低賃金制度を実現させましょう。

≪生計費原則≫

2007年に最低賃金法が改正されました。改正された最賃法では、「最低賃金は生活保護費を下回ってはならない」ということが明確になりました。

厚生労働省は、労働基準法で定められた最大の労働時間173.8時間で計算していますが、実際には日本の労働者の平均労働時間は150時間なので、最賃額は1,500円程度が妥当な水準といえます。

2.時給1,000円要求はまともな要求です。理事会に堂々と要求しよう。

~わたしたちの仕事の価値を正当に評価した賃金を求めて~

 「時給1,000円」は高すぎて、一致する要求にならないという声がよく聞かれます。今の時給やこれまでの賃上げのペースを念頭に置けば、確かにほど遠い額といえます。しかし、そもそも私たちに支払われている賃金は、仕事に見合った金額と言えるでしょうか。正規職員とパート・アルバイトの賃金・待遇の格差は妥当なものだと言えるでしょうか。私たち一人ひとりが生み出す仕事の価値に見合う賃金はいくらなのか、正規職員に支払われている賃金を基本に考えたとき、パートやアルバイトの時給があまりにも低すぎることに気が付くはずです。

生協労連では、私たちの仕事の生み出す価値と時給1,000円要求に確信を持つために、「職務評価」にとりくむことを呼びかけています。私たちの仕事の生み出す価値の、正当な評価をもとめるためにも、経営者側、理事会の物差しだけに頼らず自分たちで職務評価をしてみましょう。 

私たちの仕事の生み出す価値や、最低生計費、人出不足の解消などの面からも、私たちの時給1,000円要求には正当性があります。職場のなかまと1,000円要求について話し合い、要求に団結して理事会に堂々と突きつけましょう。

3.職場からワーキングプアをなくそう パートのなかまの切実な生活実態

 生協労連は春闘時期に「パート労働黒書」を作成し、非正規労働者の働き方と深刻な生活実態を社会に告発してきました。2016年春闘の黒書で紹介したなかま声を紹介します。

― 貧困でギリギリの生活を送っています。最低賃金をあげてください -

子どもたちが学生の時に夫と離婚。離婚する数年前から、夫はうつ病で仕事を休み、仕事を辞めた時の退職金や学資保険は夫が独立開業、失敗でなくなりました。離婚調停でも結局、夫は子供の養育費は出しませんでした。長男は、私の母の学費援助、アルバイトや奨学金でなんとか大学を卒業、しかし長女と次男は登校拒否になり、全日制の高校には進学できませんでした。現在、私と子供たち家族4人で暮らしています。私の月収約11万円と、子供たち3人の稼ぎ約10万円の生活費で生活しています。そこから家賃5万円、国民健康保険11,000円、これに水道光熱費、携帯料金、食費を支払うと貯金はできません。夏はエアコンなしで過ごしています。冬は電気ヒーター1台で過ごしています。この生活が、私たち家族の事情であることは承知していますが、私たちが貧困であることを自覚した今、最低賃金を上げて欲しいと強く思います。息子、娘が人間らしく、希望をもって生きていけるようにして欲しいです。

私たちの生協の職場にも、貧困状態に陥っているなかまが少なくありません。そんななかまをひとりぼっちにしないで、賃金・労働条件の改善に向けてともにたたかうことを呼び掛けましょう。

4.月給者だからといって関係ない話ではありません

 月給者には最低賃金は関係ないということはありません。たとえば、月額だとわかりにくいですが、時間給に換算すると、意外にもとても低賃金なことに気づきます。最低賃金はすべての労働者の賃金を下支えし、最低賃金の引き上げが月給者の賃金も引き上げていくことになるのです。

5.最低賃金引き上げの意義は、立場はちがっても共通のものになっている

 これまでのわたしたちの運動によって、早急に最賃を1,000円以上に引き上げることが社会的な要請に高まっています。また、地方の最低賃金審議会では、非正規労働者の貧困問題への対策や、都市部と地方との地域間格差を是正する必要性が認識されるようになり、一部の地方では目安額を上回る答申が出されています。このことは、審議会の委員の間で、アベノミクスが景気の悪化を招き、ますます地域経済を疲弊させていること、問題解決のために最低賃金を引き上げなければならないという認識が一致してきていることをあらわしているといえます。

私たちは、生協理事会にも地域社会に対する協同組合としての責任を果たさせるたたかいを強めなければなりません。生協は、組合員の暮らしの向上だけでなく、地域社会の発展に貢献する責任を負っています。「時給1,000円の実現によって、人材確保とともに、生協こそ地域の雇用水準をリードする必要があること」「貧困をなくし、国民の購買力を高めることが、地域の組合員のくらしを守り、生協の事業的展望をつくりだすこと」など、私たちがなぜ時給1,000円の実現を求めているかを丁寧に理事会(経営)に伝えましょう。そして、労使の現状認識を一致させ、さまざまな国民的課題に柔軟にとりくむことができる労使関係をめざしましょう。

6.2017年春闘は職場と地域で元気にたたかおう!

<こんごの行動提起>

(1)地域最賃引き上げに伴う時給引き上げのたたかい

 時給1,000円以上の要求をかかげ、すべての時間給労働者の賃上げをめざしましょう。 

(2)2016年度の最賃署名

 ①全国一律最低賃金の実現をめざす請願署名

  ○目標6万5千筆!組織人数は必ず集めきろう

 ○署名の要請項目は全労連の署名と同様ですが、裏面を生協労連独自バージョンで作成しました。

 ○地域の同じ産業(スーパー、物流等)のなかまにも、署名をひろめよう

 ◆11月下旬の全単組発送で組織人数分送ります。

 ◆とりくみ期間:2015年11月下旬~2016年2月下旬

 ◆2017年3月の中央行動で署名の紹介議員の議員要請行動をおこないます。

(3)宣伝行動にとりくもう

 ①中央では、3月の中央行動でのサウンドデモや、エキタスや他団体との最賃行動にとりくみます。

 ②地方では、地域のなかまとの行動を、目で見て、耳で聞いて、楽しくわかりやすい行動をおこないましょう。

(4)要請行動をおこなおう

 ①地域のなかまとともに、自治体への意見書採択の要請行動

 ②地元の地方議員、地元選出の国会議員への要請行動

(5)生計費調査

 分会などで、一人でくらすには、いくらかかるかなどのプチ生計費調査をおこなおう

(6)各地方労連から提起される、中賃・地賃あての個人請願署名にとりくもう

(7)2017年度は中央・地方審議員の改選の年です。すべての生協で働くなかまの立候補を実現しよう。

■ 人出不足の解決策は、時給の大幅引き上と均等待遇を前進させること

全国平均の時給963円は、地域別最賃の全国平均823円を100円以上上回っています。この水準は、最低賃金に近づきつつある地域生協の募集時給よりも高い水準です。生協の職場は依然として人手不足が深刻であり、人材を確保することが困難になっている小売り流通業なかでは、生協の募集時給は低すぎて「採用力」に乏しいと言えます。

2016年春闘では、38単組がベースアップを実現しましたが、根本的に人出不足問題を解消するほどの引き上げにはなっていません。2017年春闘は、私たちの暮らしの改善とともに生協職場の人手不足を解消するためにも時給を大幅に引き上げることが求められ、「時給1,000円要求」に多くの理解が得られるチャンスです。改めて、すべての単組で時給1,000円以上の要求を掲げ、その実現をめざすたたかいを強めることが重要です。

 

すべての単組で時給1,000円以上を要求に掲げよう

はじめに 

 16春闘では28単組が時給1,000円を要求し、15年春闘の22単組を上回りました。2017年春闘では、改めてすべての単組が時給1,000円要求を掲げ、賃金水準を大幅に引き上げて暮らしの改善と生協の人手不足を解消させる大儀あるたたかいを強め、均等待遇の実現に向けてとりくむことを呼びかけます。

1.暮らしていくための生計費原則では時給1,500円、年収で300万は必要

 

<25歳単身の最低生計費試算結果から>

全国各地でおこなわれた最低生計費調査では、25歳単身者が健康的で文化的な最低限度の生活を営むために、全国のどこで暮らしても少なくとも時給で1,500円程度は必要であることが明らかになりました。私たちの要求は、こうした実態にもとづいた正当な要求なのです。

■ リクルートの調査では、

2016年10月度の三大都市圏の時給は996円

㈱リクルートジョブズは毎月、「アルバイト・パート募集時平均時給調査」を発表しています。2016年10月度の調査によれば、三大都市圏(首都圏、東海、関西)の平均時給は996円となり、その翌月の11月度には1,002円となりました。三大都市圏の平均時給は三ヶ月連続で過去最高を更新しており、その傾向は今後も続くと予測されています。

▲ 最賃審議委員に立候補予定のなかま

生協労連 2017年春闘 最賃闘争パンフレット

「全国、どこでもだれでも

最低賃金1,000円以上、めざせ1,500円」

最低賃金法の改正に向けて (※補足資料)

 

1.現行の最低賃金法と問題点

 

 現行の最賃法の改正は、30年以上の年月を経て2007年に改正されました。改正された最賃法では「労働者の生計費を考慮するに当っては、労働者が健康で文化的な生活が営めることができるよう、生活保護との整合性に配慮するものとする」となっており、簡単にいうと、「最低賃金は生活保護費を下回ってはならない」ということです。このことにより、2008年以降、最低賃金が生活保護費よりも下回っているとされている地域では、中央審議会の目安を上回る最低賃金の引き上げがおこなわれました。

 しかし、地域別最低賃金と生活保護費を比較させるための現状の計算方法では、生活保護費を低く見積もられています。さらに、生活保護費は月額なので、最低賃金と比較するためには、時給に変えなければなりませんが、厚生労働省では、労働基準法で定められた最大の労働時間173.8時間で計算しています。その結果、最低賃金の月額を過剰な労働時間を想定することで、水増しして、生活保護費を低くみせかけるようになっています。

 また、現行の地域別最低賃金の原則には「事業の支払い能力」が明記されています。このことにより、使用者側の反発を反映させなければならず、最賃の大幅な引き上げにストップがかかっています。このような、最低賃金の引き上げに支払い能力が入っているのは国際的にも日本だけです。

 

2.ランク別(目安制度)のあり方の見直し

 

最低賃金の改定に大きな影響を及ぼす、中央最賃「目安」の決め方と、地方ランク区分の見直し作業は、5年に1度開催される「目安制度のあり方に関する全員協議会」(目安全協)でおこなわれます。現在、すでに審議会が開催されており、生協労連としての

意見書(※「目安制度のあり方および最低賃金制度に関する意見書」)を提出したところです。

 

3.法改正にむけた私たちの要求

 

 ①最低賃金のランク制を廃止し、全国一律最賃制へ

 ②最低賃金の決定方法については「使用者の支払い能力」を削除すること

《最低賃金法》

第1章 総則(目的)

第1条 この法律は、賃金の低廉(ていれん)な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 第二節 地域別最低賃金 (地域別最低賃金の原則)

第九条  賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。

2 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。

3 前項の労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。

最低賃金1,500円

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