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  最低賃金は全国一律制度へ!
   8時間働いたら   暮らせる   時給1500円へ!

​~春闘最賃パンフレットより~

はじめに

 最低賃金とは、法律に定める「賃金の最低基準」です。年齢や性別、職種、雇用形態に関係なく、地域別に定められた最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければ法律違反です。

 最低賃金は中央最低賃金審議会が年度ごとに地域別最賃の改定額の目安をだし、その目安額をもとに各都道府県の地方別最低賃金審議会で改定額を決定します。

◆2020年度の地域別最低賃金改定状況

 2020年度の地域別最低賃金の改定では、新型コロナウイルスの感染拡大による事業経営の悪化を理由に、経営団体が最賃引き上げの凍結などを政府に訴えかけました。それにより中央最低賃金審議会では、目安額をださないという、実質引き上げ凍結という結果になり、これまで9年にわたって20円以上引き上げられていた最低賃金が0円~3円と低額改定となりました。しかし、中央最低賃金審議会が目安額をださなかったにもかかわらず、地方最低賃金審議会では最賃引き上げに向けた積極的な議論がおこなわれ、鹿児島などでは3円の引き上げなど、40地方で最賃引き上げを実現させました。

 ※全国の改定状況

 
 

 

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◆国際的にみると低い日本の最低賃金 

 ILO(国際労働機関)所属している186カ国のうち171カ国がなんらかの形で最低賃金制度を導入しています。最低賃金の定め方はそれぞれ違いますが、先進諸国の中で比較すると、日本の最低賃金は非常に低い水準です。

 OECD(経済協力開発機構)の統計データによると、「フルタイム労働者の賃金を100とした場合の最低賃金の割合」の国際比較で、日本は40%と最低に近いランクです。(例:フルタイム労働者の時間給換算2000円に対して最低賃金は800円)ちなみに、フランスは62%、その他のヨーロッパ諸国や韓国では50%前後となっています。国連の勧告でも、日本の最低賃金については、その平均水準の低さが指摘されています。

 

◆なぜ日本の最低賃金は低いのか

 日本の最低賃金が低いのは、戦後の日本の社会システムや夫婦の役割分業と密接に関係しています。日本では「サザエさん」や「クレヨンしんちゃん」の家族のように、男性が外で正社員として働き、妻子を養い、妻は無償で家事、育児など家庭内労働に従事するのがふつうとされていました。しかし、1980年代ごろになると、教育費や住宅価格などが高騰し、世帯主である男性の賃金だけでは家計費が不足すケースがでてきました。そうした中、パートタイマーとして、家計を補助する妻が増えてきました。しかし、その働き方はあくまでも家計補助労働として低額なパート賃金に固定されることになり、最低賃金の引き上げも抑制されてきました。

 

◆新自由主義による非正規雇用の拡大

 1990年代に入り、日本政府が進めてきた構造改革政策により、労働分野の規制緩和で非正規雇用労働者が急増しました。企業は大規模なリストラで正規雇用を減らし、非正規雇用への置き換えを進めていくことにより、これまで主婦や学生が中心だった非正規雇用が男性労働者の間にも急速に拡大しました。しかし、その流れの中でも最低賃金の引き上げは置き去りにされたままで、正規労働者と非正規労働者との賃金格差が拡大する一方となりました。2008年に起きたリーマン・ショック以降、さらに非正規労働者が増加し、その結果、最低賃金の社会的な位置づけが大きく変化しています。これまでは家計補助的な役割とされていた非正規労働者労働者の最低賃金の収入が、いまは実質上の生活賃金となっています。

全国一律最低賃金制度をつくろう

◆暮らしていくための生計費はどこでも同じ

 最低賃金は「ただ生きるための最低限」に必要な額ではなく、憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営むため」の最低賃金でなければなりません。生協労連のなかまも協力し実施している、全労連の最低生計費資産調査では、25歳単身者が人間らしく暮らすためには、全国どこでも1,500円(月額23万円)が必要という結果がでています。

都道府県別の最低賃金(2021年10月~)

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◆最低賃金は時間給労働者だけの問題ではない

 いま多くの生協で委託社員、月給の非正規職員、嘱託職員が働いています。例えば、1ヶ月の月給が14万円で、月に150時間労働だとしたら、時間給は933円にしかなりません。月額で表示されると気づきませんが、時間給で換算してみると、とても低賃金なことに気づきます。国家公務員の高卒18歳初任給は165,318円です。最賃が引き上がれば、この国家公務員の初任給や民間の初任給の引き上げにもつながります。最賃の引き上げは、時間給労働者の問題だけでなく、月給者の賃金にも大きく影響するのです。

◆全国一律最賃制度と最賃の大幅な引き上げが日本を救う

 大災害と感染症拡大の時代の中で、国民の命を守り、人間らしい暮らしを再生・維持・向上させる持続可能な地域づくりが求められているなかで、その具体策のひとつが、全国一律最低賃金制度と最賃の引き上げです。そして、地域経済・社会の圧倒的部分を担う中小企業経営の維持・向上と結合しながら実現することで、国民と日本経済を救うことができます。

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◆声をあげることで必ず変わる

 アメリカのニューヨークでファストフード労働者が「時給15ドルと組合加入の自由」を求めて立ちあがり、賃上げを実現しました。そしてその運動が他の都市しも広がっていきました。韓国では「最低賃金連帯」という労働組合だけでなく、弁護士の会や教授会、社会福祉協会や政党が一緒になった運動で世論を動かし、政治的にも最低賃金の引き上げを実現させてきました。

 日本でも全国各地での最低賃金引き上げの運動が広がり、2019年の参議院選挙ではほぼすべての政党が最賃の引き上げを公約にかかげ、与党の中にも全国一律最賃制をもとめる議員連盟ができるなど、運動が大きく広がっています。

 最低賃金の全国一律性の確立と時間給1,500円を求めるたたかいは、地域経済の活性化とともに、地域のエッセンシャルワーカーの賃金を底上げし、いのちと暮らしを守りことにつながります。コロナ禍だからこそ、「最低賃金の改善、中小企業支援の拡充で地域経済の好循環を」と訴え、市民団体、弁護士会、中小企業団体などと合意形成をすすめ、全国一律最賃制度を実現させましょう。

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