生協労連の当面の均等待遇実現政策

同一価値労働同一賃金原則の確立で均等待遇を実現しよう

-水準は生計費原則で、配分は同一価値労働同一賃金原則で-

2017.3.21-22 生協労連第496回中央執行委員会

    賃金・労働条件は時間比例

③フルタイムに対するパートタイムの賃金水準割合 

(JILPT国際データブックより)

④オランダモデルとは

オランダで近年実施された雇用のあり方の改革で、ナショナルレベルの政労使のワッセナー合意*をベースに、パートタイムとフルタイムの差をなくし、パートタイムの促進を行った。「同一価値労働同一賃金」をルール化して同じ労働内容であればフルタイムでもパートタイムでも時間当たり賃金を同じにし、年金、社会保険、育児休暇なども同様に取り扱うようにした。労働者の請求で転換可能とした。

*1982~3ワッセナー合意 労組は賃金抑制に協力する、経営者は雇用の維持と就労時間短縮、政府は減税と財政支出の抑制と雇用の増加を約束し、どん底経済から再起した

⑤欧州ですすむ法制化

欧州では、同一労働同一賃金は、性や人種等の属性による雇用差別の禁止とパート労働や有期労働、派遣労働といった雇用形態による不利益取り扱いの禁止という2つの側面から法令が整備されています。

イギリス 1970同一賃金法、2010平等法、NHSや地方自治体は職務評価を導入

フランス 労働法典 ・男女同一労働同一賃金から、同性間まで発展

          ・パート、有期、派遣の平等取り扱い原則

オランダ  1994年 無差別待遇に関する法令、

      1996年 労働時間による差別禁止法

スェーデン 2008年 差別禁止法、2002年 パート・有期差別禁止法

カナダ オンタリオ州 ぺイ・エクイティ法 

EU指令【性や人種などの属性による雇用差別の禁止】

EU運営条約15条、男女均等待遇統合指令、一般雇用指令、人種民族均等指令など

【パート労働や有期労働、派遣労働といった雇用形態による不利益取り扱いの禁止】パートタイム労働指令、派遣労働指令など

*EU指令とは、欧州連合の共同体立法として、EU加盟国にはその目標を達成する義務が生じ、国内法の制定または改正をしなければならない。

 

(3)日本における課題、特段の工夫が必要な理由

①日本の正規労働者は多くの国とは異なり、属性基準賃金(年功・職能)によって賃金が決まっています。これに対して、日本の非正規労働者は職務や市場によって決定しており、賃金決定の基準が異なっています。

②日本は、極端に賃金に依存して生活保障をささえる社会。欧州では、賃金と社会保障のセットで生活保障をささえています。均等待遇の実現には。社会保障の拡充が不可欠です。*自立化政策を参照。

③欧米では男女の賃金格差が課題ですが、日本では、男女の賃金格差を是正させるには、非正規に女性が多いことから非正規の待遇改善が女性労働者の賃金アップにつながります。このことは間接差別ともいえます。

 

(4)安倍政権のめざす同一労働同一賃金にはだまされない

安倍政権は「同一労働同一賃金」の実現を掲げざるをえなくなり、12月末にガイドライン、3月に法改正に向けた報告書をまとめました、こんご、法改正をめざすとしていますが、安倍政権のめざす「同一労働同一賃金」では実効力に乏しいと考えます。それは、ガイドラインでは法的な規制がないこと、企業の立証責任が盛り込まれていないこと、正規と非正規は人事管理上違うというこれまで考えを踏襲していること、事例をかかげつつも水準があいまいなこと、社内の同一労働同一賃金にとどまっていることにくわえ、むしろ、格差が固定されるのではないか、正規の賃金を下げる口実になるのではないか、成果主義賃金への呼び水になるのではないかということが懸念されるからです。

同時に、安倍政権は2017年度税制改正大綱で、2018年1月から配偶者(主に妻)の年収要件を現行の103万円以下から150万円以下に引き上げ、妻の年収が150万円以下までは夫の年収から38万円、150万円超から201万円までは控除額を9段階で減らすとしました。負担増にならないための策としていますが、本末転倒です。配偶者控除(含む配偶者特別控除)は家族単位の税制度であり、人権を尊重する社会の発展方向とは間逆のながれです。主に妻である女性の低賃金を助長する制度であり、配偶者控除ではなく、基礎控除を引き上げるべきです。

 

3.なぜ、必要なのか 社会的な背景から、

  生協職場の実態から

 

(1)高度成長期をささえた日本型雇用とは

従来の日本は、終身雇用・年功賃金・企業別組合で男性が正規労働者として雇用されて働き家族を養うだけの賃金を得、妻は家庭と地域を守るという家族モデルを標準タイプとしてつくられました。また、日本は社会保障の企業負担が少なく、日本の社会保障制度はヨーロッパに比べ不十分な分を、企業が福利厚生制度を設けて生活を保障してきました。賃金も社会保障も世帯単位で考えるこのモデルは、その当時の時代にマッチしたもので、日本の経済は発展していきました。賃金も社会保障も企業に依存した働き方・暮らし方であったため、企業規模によって収入も社会保障(福利厚生)も大きな格差がありました。

また、このモデルでは、夫は終身雇用・年功賃金・無期雇用を保証するかわりに、会社人間としていつでも配転OK、長時間・滅私奉公的に働き家族を養うという役割を持たされました。妻は子育て・家事など家庭的な責任を負わざるを得ないため、短時間労働ではたらくことしかできませんでした。短時間労働ではたらく女性や正規女性は男性と同じような働き方をすることは困難であり、このモデルからは排除され、差別されていました。世帯単位モデルによって、男女ともに役割が強要され、ライフスタイルの選択肢ができず、自分らしく生きることができない状況にありました。

 

(2)ゆらいでいる日本型雇用、非正規が増大し、貧困と格差が拡大

戦後高度成長期には良しとされた「男性が正規労働者として働き家族を養い、妻は家庭を守るという」家族単位の社会システムは、今の社会では穴だらけです。

①「夫婦+こども」の家族モデルが一般的とは言えなくなりました。

非婚化や離婚率の上昇で、「単身」あるいは「単身+子ども」という家族が増えましたが、賃金も社会保障制度も正規労働者とその家族を守るために設計されているため、非正規労働者や離婚したとたんに、その恩恵を受けられなくなります。生活保護しか頼るべきセーフティーネットはありませんが、生活保護制度は、預金や車の保有などが認められないなど使い勝手の悪いことに加え、水際作戦など支給を抑制しようとする国の政策より捕捉率が非常に低くなっています。

②非正規労働者が増大し、低賃金労働者が増大、格差と貧困が増大

経団連が「新時代の日本的経営」でねらったように95年以降、派遣法の改悪など労働法制が改悪されつづけ、正規労働者から非正規労働者への置き換えがすすみました。「非正規労働者」が38%とほぼ4割に、とりわけ青年労働者の5割近く、女性労働者の6割が非正規労働者となりました。ワーキングプワーと呼ばれる、フルタイムで働いても年収200万円以下の労働者が1100万人超にもなります。そして、貯蓄なし世帯が3割に、相対的貧困率は16%と高く、6人に1人の子どもが貧困状態と拡大しています。

同時に非正規労働者は、低賃金で企業福祉の対象外とされ、いつ首を切られるかわからない不安定な雇用であり、自分一人が生きていくことさえ不安な状況です。結婚したり、家族を養うなど、将来を展望することができません。一人の人間・個人としての人権と尊厳まで奪いとられてしまっています。

③男女の賃金格差が縮まらない

「ジェンダーギャップ指数」(世界経済フォーラム2016)では、OECD144か国中111位と異常な低位置にあり、国会議員数や企業の管理職など決定する場に女性が少ないことと、女性労働者の6割が非正規で賃金の男女格差が大きいことが大きな要因です。日本はILO100号条約を批准しているにもかかわらず、男女の賃金格差が縮まらないことからILO条約適用専門家委員会や、国連女性差別撤廃委員会から度重なる勧告を受けています。女性労働者の低賃金を是正させるためには、雇用形態の違いにかかわらず、仕事をモノサシにした同一価値労働同一賃金の実現と一人ひとりが自立し普通に暮らせる個人単位の社会システムの構築が求められています。

 

(3)97年から下り続ける正規男性労働者の賃金

1997年をピークに日本の労働者の賃金は下り続けています。正規労働者から非正規労働者への置き換えがすすんだことと、男性正社員の賃金そのものが下がっているためです。非正規労働者が増大したことで正規労働者の賃金のダンピングが進行した結果です。青年はブラック企業で低賃金長時間労働で酷使され、中高年はリストラ・合理化の対象になり、配転で賃金が下がったり、成果主義賃金によって賃金が上がりにくく、むしろ下がっています。非正規労働者の差別的賃金や処遇を放置したがために、正規労働者の賃金や処遇の大きな後退が進んでしまっています。

 

◆1997年と2014年の民間労働者の所定内賃金月額比

減っているのは主に30~50代前半の男性正社員、女性・パートはやや改善!

(4)生協職場ではたらくパート・非正規の実態

①非正規だけの収入で家計をまかなう人は、4人に1人に

2017春闘準備のための生活実感アンケート(2016年秋実施)では、ジェンダー平等の課題の解決、ひとり一人が自立できる賃金・労働条件、社会システムの切実さが浮き彫りになりました。生協労働者の4人に1人(25.1%)、女性の3割弱、男性では2割弱が、非正規労働者のみの収入で家計をなりたたせています。また、「共働き(一方非正規)」は10年前の2006年春闘(2005秋実施)は72.7%を占めていましたが、48.1%と過半数を割り込みました。家計補助的労働と見られているパート労働者の背景が大きくさまがわりをしていることが見て取れます。

②生協の事業拡大とともに広がる雇用形態、委託化・子会社化もすすむ

もともと生協には、1970年代頃から生協組合員が店舗の手伝いをするためパート労働者へ移行していった経過があり、早くからパート労働者が存在していました。1990年代バブルがはじけて以降、日本生協連の「人件費構造改革」の旗振りのもと、経営難を理由に正規からパート・非正規への置き換えと、子会社化・委託化をすすめました。主だった生協では、介護保険制度のスタートとともに福祉事業を展開、本体事業の正規(いわゆる総合職)とは異なる賃金・人事制度の福祉専門職員を採用、また、事務職はパートで、ヘルパーも直行直帰型の登録ヘルパーがほとんどです。組合員のニーズから夕食宅配(おもに高齢者向けのお弁当配達)事業も増えていますが、パートよりも低廉なアルバイトや、個人請負などで展開せざるを得ない生協もあります。「パート」より待遇の低い「アルバイト」の採用も増え、最近では、人手不足の影響もあり、時給制の「パート」から月給制の「エリアもしくは職種限定の正社員(あるいは非正規)」に移行している生協も多くあります。また、定年後の再雇用者もふえ(65歳までの定年延長を獲得している単組もありますが多くは再雇用制度)、これまでの、「正規」と「パート」から、さまざまな呼称とともに雇用形態が広がっています。

③他企業に比べて高い非正規率

さて、このように生協職場には非正規化・委託化がすすんだ結果、職場の非正規率は非常に高くなっています。75.2%と卸小売業(52%)を大きく上回り、店舗では90%と上場SM40社(77%)より高く、宅配は63%、福祉83%となっています(日本生協連「賃金労働条件調査の概要報告」)。しかし、正規に比べ、賃金は、配送で6割、店舗で4割の水準です。しかも、人手不足が深刻化し、過酷な労働実態と、低賃金への怒りが渦巻いています。

④パート労働者の過酷な暮らしぶりと労働実態

生協労連では単身で家計をささえているパート声を4年前から集め「パート労働黒書」として告発をしています。ここから見えてくる実態は、①あまりにも低すぎる賃金、正社員と仕事はそう変わらないのに賃金・労働条件に大きな格差があること。②低すぎる賃金、生活できない賃金のために、やむなくダブルワーク、トリプルワークをせざるを得ないこと。③ダブルワークや長時間・過重労働のために、健康を損ない、そのことがさらなる貧困につながっていること。④親の貧困が子どもの貧困につながり、子どもの教育を受ける権利が奪われていること。そのこと自体が、格差となってあらわれていること。⑤老齢や疾病により仕事ができなくなったときの生活不安。⑥新卒者でさえ正社員の就職が極めて困難なため、不安定で低賃金の非正社員で働かざるを得ない、など深刻な状況が語られています。

 

(5)正規も非正規もディーセントワークからはかけはなれた労働実態に

この間、男性正規労働者は、経済的に家族を養うという重い「扶養」責任を押し付けられ、過労死を生むような長時間過密労働を強いられてきました。さらに、非正規があれだけ働くのだからと、更なる労働強化を迫られています。女性は家族的地域的責任を背負わされ、働きたくても短時間労働しかなく処遇も差別され続けてきました。それは生協職場も同様です。

均等待遇と自立化政策の実現によって、男性も女性も1人の人間として自立することができ、より人間らしい自分らしい生活を送ることができるようになります。非正規労働者や女性労働者の賃金引上げ、均等待遇の実現は、非正規労働者のみならず、男性正規労働者にとっても重要な政策なのです。

 

4.具体化政策

 

(1)基本的な要求

憲法14条1項(法の下の平等)の精神に立ち、「すべての働く人々を対象に、性別や雇用形態をはじめ合理的な理由のないすべての差別を禁止し、同一価値労働同一賃金、均等待遇原則を実現」するため、労働基準法、男女雇用機会均等法、労働契約法、パート労働法、労働者派遣法、最低賃金法とその関連法を改正し、以下の点を踏まえた内容にすること。

①同一価値労働同一賃金原則を明記すること

性別や雇用形態をはじめ合理的な理由のないすべての差別を禁止すること。また、間接差別の禁止を含む実効性あるものとすること。

②「均等・均衡待遇」ではなく、「均等待遇」を原則とすること。 

③「人材活用の仕組み」を格差の合理的な理由としないこと。 

④「合理的である」ことの立証責任は使用者側におわせるものとすること。

⑤異なる職種間の格差問題にも適用しうるよう、ILOの職務比較の方法(※)を推進すること。

※ILOの提唱する職務分析の要素

 ○ 知識、技能・技術、資格(職務知識、コミュニケーションの技能、身体的技能)

 ○ 負担(感情的負担、心的負担、身体的負担)
  ○ 責任(人に対する責任、ものに対する責任、財務責任)

 ○ 労働条件(労働環境、心理的負荷)
⑥賃金の水準は生計費原則を基本とした人たるに値する水準を満たすこと

⑦臨時的一時的業務以外は、無期雇用契約とすること。

*憲法14条第1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

 

(2)当面の具体化要求

 

1)生協職場での実現にむけて

①均等待遇を大枠のフレームとした制度統一をめざす

 すでにエフでは統一し、月例賃金は均等待遇を実現しました。

②同じ仕事には同じ賃金を、格差をうめる要求をかかげてたたかう、

③職務評価を推進する

④委託や子会社のなかまも含め生協職場ではたらく全ての人を視野に入れる。

 

2)生協理事会への要求

< >賃金、一時金含め、均等待遇の実現を前面に出した要求を押し出す。とくに福利厚生制度・有休休暇制度など、有給化も含め均等待遇を求める。臨時的一時的業務以外は無期雇用を求める。5年を待たずに転換を求める。同じ仕事をしていたら同じ賃金を求める。その際に同じ仕事を図るモノサシとして職務評価を活用する。

 ⑤ 均等待遇を実現するための道筋を示すこと。

 

3)国にむけての要求 法改正

①労働基準法に、同一価値労働同一賃金原則を明記すること。

昨年末に出されたガイドラインでは基本給や昇給などの賃金水準が明確になっていない、正規職員と非正規職員の待遇の差が職務の内容の違いによって妥当かどうかの判断基準がないなどの中身でした。仕事が同じなら同じ賃金に、均等待遇の実現のために労働基準法に明記することを求めます。

②関連法に「格差の合理性についての立証責任を企業側に負わせるよう」明記すること

格差が不合理であることを労働者側が立証するのはたいへん困難です。格差をつけるのは使用者側のため、その差が合理的かどうかの判断ができないからです。

③パートタイム労働法を、以下のように改正すること。

a.第9条の差別禁止の適用要件から「人材活用のしくみ」を削除すること。

第9条 事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

「人材活用のしくみ」(転勤の有無)があることで、適用になるパート労働者の範囲は狭められています。通常の労働者と同様の職務内容で働く(エリア限定など)職員も増えています。また、その職場にはすでに比較する通常の労働者がいない、などの職場もあります。賃金の決定や教育訓練の実施などに差別的取り扱いをすることがないように「人材活用のしくみ」を削除すること。

b.第10条の均衡処遇確保については、ILOが提唱する職務分析に基づく賃金水準・基準を明確に示すとともに「努力規定」を「義務規定」にすること。

第10条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。次条第二項及び第十二条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。

賃金水準や基準を決定する際は、職務の内容に応じて決定されています。(この仕事の内容にはこの賃金と判断しているのは事業主)あいまいなままでは労働者はその賃金水準が妥当かどうかの判断できません。透明性のある賃金水準・基準を示すことは事業主の責任です。努力規定ではなく、義務規定とすること。

c.通勤手当や退職手当をはじめとする諸手当、忌引きなどの休暇や福利 厚生制度などについても、合理的理由のない不利益取り扱いを禁止すること。

労働契約法では、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を是正していくことに対処し、労働者が安心して働き続けることができるように規定が設けられています。パートタイム労働法でも合理的理由のない不利益取り扱いを禁止すること。

 

(3)アクション

①同一価値労働同一賃金原則の考え方の普及 (政策文書)

②職務評価の普及 (2017春闘資料集)

③自立化政策の普及 (自立化政策文書・リーフ)

 

さいごに

 

多くの国は仕事を基準に賃金を決めていますが、これまでの日本の正規労働者の賃金はそうではありませんでした。そのため、同一価値労働同一賃金原則つまり仕事賃金への移行は困難という意見も根強くあります。たしかに、社会的尺度として同一価値労働同一賃金という考え方は一般化されていません。しかし、いまや、正規労働者と非正規労働者の仕事の量や質が近づき、線引きが不明確となるなか、賃金・労働条件の格差だけが固定化しています。「性・年齢・人権・信条・雇用形態などを理由とした賃金格差は差別にあたる」。これは国際社会の常識です。

あわせて、「賃金は労使で」、といいますが、日本における組織率は年々低下しており、特に非正規労働者は9割以上が未組織で、派遣労働者は契約不更新・雇止めを覚悟した上で労組に加入し闘わなければならないのが現状です。 

貧困と格差を解消するためにも、非正規労働者の待遇改善は喫緊の課題です。最低賃金の大幅引き上げとともに、同一価値労働同一賃金原則を盛り込んだ法改正をし、均等待遇を実現させましょう。非正規労働者を多く組織している生協労連の役割発揮のときです。

                   

以上

◆構成

1.生協労連がめざす社会

2.同一価値労働同一賃金原則とはなにか

3.なぜ必要なのか、社会的背景から、生協職場の実態から

4.具体化政策

 

はじめに

 

生協労連は、2004年の第5次中期計画から「すべての労働者のディーセントワークとジェンダー平等社会の実現」をかかげ、非正規労働者の待遇改善を重点課題とし推進してきました。重点課題の一つ目は最低賃金闘争です。街宣や議員要請、審議委員への立候補、「時給は1000円以上に」と理事会に要求をするなど牽引役を果たしました。全労連も公契約適正化運動とともに社会的な賃金闘争と位置づけ、4年後の超党派による最低賃金法改正をめざすキャンペーンをスタートさせ、エキタスなど市民運動も誕生し、まさに社会運動へと広がりをみせています。二つ目は、雇用の安定です。ザル法といわれる労働契約法を活用し、2012年秋から理事会へ強く要求し、従前より無期雇用だった単組も含め、法律より前倒しで、35生協、約35000人の、パートやアルバイトなど非正規労働者の無期雇用契約を実現させました。3つ目の課題である均等待遇は、福利厚生や特別休暇制度などは、春闘や秋闘で一歩一歩着実に前進させていますが、月例賃金・一時金・退職金など賃金の実現はなかなか困難な状況がつづいています。こうしたなか「人権を尊重すべき」とエフコープはすべての雇用形態の賃金・人事制度のフレームを統一し、月例賃金では均等待遇を実現しました。そもそも、パート化や委託化により人件費は抑制されましたが担っている「仕事の価値」そのものが下ったわけではありません。配偶者控除を受けるために「低賃金でもいい」という働き方こそが「仕事の価値」そのものをさげているのです。仕事に誇りをもち、同じ仕事をしていたら同じ賃金を、これは当たり前の要求です。安倍政権も同一労働同一賃金を言い始め、前進の可能性が広がっています。均等待遇の実現は生協労連の大きな課題の一つです。ここでは、同一価値労働同一賃金原則とは何か、なぜ必要なのかを明らかにし、具体化政策を提起します。大いに議論しましょう。

1.生協労連がめざす社会 

 

(1)この間の生協労連のとりくみの経過

生協労連は、「均等待遇」の方針上の位置づけを明確にしたのは2002年度からです。2002年3月に発行した「21世紀の生協労連(21世紀委員会の最終報告)」で「均等原則」の徹底が提起され、その年の生協労連の大会方針およびパート部会方針に「均等待遇原則」の徹底が明記されました。

第5次中計(2004年から)以降、最賃闘争では、交流会を重ね、2007年度から最賃闘争委員会をスタートさせ最低賃金の大幅引き上げと審議委員の獲得などを通じパート自らが主人公となるような活動をすすめてきました。意識改革としては、男女共同参画委員会を立ち上げ、交流会(2006.11)を開催し、2007年5月に報告書を策定しました。均等待遇政策では、均等待遇委員会を立ち上げ、2006年度、2007年度に均等待遇交流会を開催し、2008年9月に均等待遇政策の答申書を策定しました。以降、毎年、「均等待遇をめざす賃金・人事制度セミナー」を開催。2014年6月に行った第1回学習教育セミナーでは、重点5課題として、①最賃 ②均等待遇 ③賃金・人事制度 ④不払い・時短 ⑤組織拡大・強化をすえ、これらの課題の確信を深めてきました。

 

(2)生協労連がめざす社会は、1人ひとりが自立できる社会

同時に、総合的な政策が不可欠として、2011年度にディーセントワーク委員会を発足し、2014年5月につづき、2016年11月に「憲法が息づく新しい社会システムと働き方をめざすシンポ」を開催し、「一人ひとりが自立できる社会システムと働き方をめざそう」(第2次案)政策を提起し、リーフレットを作成し組織内討議をすすめています。

この政策は、これまでの賃金だけに極端に依存していた社会から欧州のように賃金+社会保障のセットでなりたつ社会へ、家族単位から個人単位のシステムにし人権が尊重される社会をめざそうというものです。当面の具体化要求として、①賃金-最低賃金1500円と公正な賃金として同一価値労働同一賃金の実現、②社会保障-最低保障年金制度の創設、医療と介護制度の拡充、③子育て・教育-児童手当の拡充、高校までの教育費無償化、大学授業料の引き下げ、奨学金制度の拡充 ④住宅-公営住宅の増設、住宅補助費の拡充 ⑤働くルール-一日7時間・週35時間・年間1800時間の実現、不払い労働の根絶、休日増・有休100%消化、失業時の保障などを5本の課題とし、税金の使い方と集め方をかえれば財源は確保できるというものです。すべての労働者のディーセントワークとジェンダー平等社会の実現には、こうした新しい社会システムの変革が求められます。この均等待遇政策は賃金にかかわる要求の一つです。

 

2.同一価値労働同一賃金とは何か

 

(1)考え方の整理

①賃金の水準は、生計費原則にもとづきます。

②最低賃金闘争は、水準の引き上げ闘争です。

③「均等待遇」とは、賃金の配分に関する考えで、「同一価値労働同一賃金原則」によって実現します。

④「同一労働同一賃金」が発展したのが、「同一価値労働同一賃金」

同一労働同一賃金(equal pay for equal work)とは、同一の職務に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきという原則。性別、雇用形態、人種、宗教、国籍などに関係なく、職務に基づいて賃金を支払うこと。さらに、同一価値労働同一賃金(equal pay for equal value  work)とは、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用することです。

⑤同一価値労働の価値とは、経済用語の価値(労働力の価値)とは違います。また、成果・意欲・能力をさすものではない、あくまで職務の質をさす

⑥同一価値労働同一賃金は、職務賃金への移行で実現する。

⑦職務賃金という概念が日本では形成されていないため、職務評価を推進することが、職務賃金への道を開くと考える。

 

(2)同一価値労働同一賃金は国際社会ではあたりまえ

①ILO(国際労働機関)は、同原則をILO憲章の前文に挙げています。

基本的人権の一つとし、100号と111号は基本8条約としています。日本は100号は批准(1967年)、111号は未批准。

 100号条約 同一価値の労働に対する男女労働者の同一報酬に関する条約

 111号条約 雇用及び職業についての差別待遇に関する条約

 

②フルタイムとパートタイム労働者の待遇の違いは時間の長さだけ

欧州は、パートタイムとフルタイム労働者の違いは、所定労働時間にフルで働くか働かないか(フルタイムの所定労働時間:英国は週35~38時間、オランダは36時間)の違いで、パートタイムも期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)であり、正社員です。EUの統合とともにEUパートタイム労働指令が出され、同等とすることが義務付けられました。

 
 
 
 
 

同一価値労働同一賃金の実現を

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